晴耕雨読と〇部録

ビブリオバトル、茶トラネコ、書評、日々の雑感などを書き連ねる

『仁義ある戦い -アフガン用水路建設 まかないボランティア日記-』杉山大二朗

 著者の杉山さんは、大学卒業後、定職には就かずイラストレーターや様々な仕事をしていた。旅先のバンコクで知人からアフガニスタンの話を聞き、中村哲先生の本を奨められる。日本に帰り本を読み衝撃を受ける。そしてぺシャワール会のホームページで「現地ワーカー募集」の告知を見つける。さらに、中村先生の講演を聴き、「現地ワーカー」に応募することになる。
 
 現地での仕事は、用水路建設の現場作業や会計、診療所の事務等様々をこなす。そして重要なのが、「賄い」である。現地ワーカー達の夕食を作ることである。杉山さんは料理が得意だった。

 これは2002年から一時帰国をはさんで2011年まで、中村先生と共に働いた日々をマンガとエッセイで綴った本である。あまり知られていないであろうぺシャワール会の現地での活動を、悪戦苦闘する日々をユーモアを交えて描いている。

 最初は、なぜタイトルが「仁義ある戦い」なのか、全くわからなかった。こんな話がある。用水路を通すために、その地域の軍閥のボスのところに話をつけに行くことになる。中村先生と一人のスタッフがそのボスのところに赴く。ボスはたった二人で、しかも丸腰でやってきた中村先生の勇気に感心し、用水路を通すことを認める。中村先生は仁義を重んじ情けも深い人のだ。

仁義ある戦い ―アフガン用水路建設 まかないボランティア日記―