晴耕雨読と猫部録

ビブリオバトル、茶トラネコ、書評、日々の雑感などを書き連ねる

最近読んだ本「ホライズン・ゲート 事象の狩人」

 第十一回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作である。短い作品だがアイデアがてんこ盛りで、凝った設定となっている。ガール・ミーツ・ボーイがあり、取っつきにくい作品ではない。

 大昔の超文明によって人工的に作られたと思われる超巨大ブラックホールの調査がおこなわれている。特別な装備でブラックホールへと降下する役目の少年イオは、過去・現在・未来を見通す前後に分かれた脳を持つパメラ人である。この特殊な能力と彼の主観が、この作品の重要なポイントだ。

 主人公の少女シンイーは、イオとコンビを組む惑星カントアイネ出身のスゴ腕の狙撃手。彼女の標的は、イオの活動の妨げになるネズミと呼ばれる存在(ブラックホール近傍にあらわれる幽霊みたいなもの)である。ネズミが発生する理由というか謎が最後のほうで重要な意味をもってくるのだ。

 過去のシーンは詩的に表現されているし、ラストはきれいに纏まっている。