紫式部を探偵役にしたミステリの第2弾で再読。今作では「紫式部日記」を題材にしている。これは誰もが知る「源氏物語」とは、比べようもないくらい知名度が低い。なぜならば、つまらないから。作者いわく、「中宮彰子の出産ビデオ」みたいなもの。要はただの記録に過ぎないということ。さらに作者は、どうしてこんな日記が生き残れたのか疑問を呈している。そして今作が解答(?)となっているのだ。
中宮彰子の出産の記録をまとめるように命じられた紫式部。そして彰子は待望の皇子を出産する。白一色に飾り立てられ、喜びに沸き立つ道長の屋敷。そこに最近都を騒がす盗賊の一人が逃げ込んだという知らせが入る。くまなく捜索し、屋敷への出入りもチェックするが、盗賊の影も形も見当たらない。盗賊の行方は。そしてその正体とは。さらには屋敷の床下に埋められていた呪符が見つかる。一体誰が埋めたのか…
前作よりミステリ色が強いが、当時の女性たちの置かれていた立場をうまく咀嚼かつ消化して書かれてると思う。そして前作から8年近くも経っての出版なので、文章がこなれており、読みやすくなっている。あらかじめ、前作の「千年の黙」を読むことをお薦めする。
それにしても「千年の黙」の方は、あらすじを覚えていたのだが、こちらはほとんど覚えていなかった。
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